~住みよいまち、誰もが訪れたくなるまち~
伊佐市をあまり知らない人に向けて、
観れば気になる、行けば好きになる
伊佐市の魅力スポットを簡単にご紹介。
ISA of Dramatic
~あなたが創る物語~
彼は、ゆっくりと歩きながら一つの机に指を這わせる。
あの日が来る日も来る日も、共に授業を受けたその机は、古ぼけてはいるが懐かしさを纏っている。
窓から吹き込んだ風が、私のワンピースの裾を揺らす。
ロケ地:布計小学校跡
「やあ先生!ただいま!」
背後から呼び止める大人の声に一瞬驚いたが、すぐにその正体に気付き胸が踊った。
「こら!また勝手に入って!悪い子どもなんだから!」
嬉しい気持ちを隠しながら精一杯返してはみたが、思わず笑みが溢れる。
彼はスッと姿勢を正すと私の方をじっと見つめて噛みしめる様に言った。
「戦地より戻ってまいりました。」
ロケ地:布計小学校跡
窓際で、あの机でページをめくる彼の姿が、
かつてのそれと重なる。
見た目はすっかり大人びた彼だが、文字を追うその眼差しに込められた高鳴りと聡明さは、寸分もたがわない。
「俺、小説家にでもなろうかな。」
そう語ったあの日の彼の瞳にあった輝きは、言うまでもなくそこにある。
暖かな木漏れ日がかつての少年少女を包んだ。
ロケ地:布計小学校跡
「疲れたー!!」声が視界に広がる天井に当たって落ちてきた気がする。
高校最後の夏を過ごすのは、実家が経営している古めかしい鉱泉(こうせん)だ。
デッキブラシがすっかり手に馴染んでいるのが、新鮮味のない私の夏を表しているみたいで、どこか腹立たしい。
夏は、嫌いだ。
ただの日常に、忌々しい夏の日差しが加わるだけだから。
ロケ地:岩戸鉱泉
真っ直ぐ前を向く幼なじみの彼の姿を、私はぼんやりと眺める。
向こう岸から聞こえるボード部の大きなかけ声が、私の鼓膜を震わせる。
私を置いて青春の真っ只中に行ってしまった彼がどうしようもなく遠い。
ロケ地:伊佐市菱刈カヌー競技場
澄んだフルートの音は、微かな響きと共に私の諦めの音を音楽室に響かせる。
高校1年のコンクールで明らかな実力差を見せつけられて以来滲む青春とは程遠い諦めの音は、
悲しいことにすっかり耳に馴染んでしまった。
そんな諦めとは裏腹に私が練習を続けるのは、「上手くなったな」と言う彼がいるからだ。
ロケ地:鹿児島県立大口高等学校
「コンクールいつ?」
「来週の土曜」
他愛もないこの会話は、青春なのだろうか。
「頑張れよ。見に行こうかな」
「いいよ。勝てないし」
「いいじゃん。とりあえず頑張れ」
軽い口調だけれど不思議と心に染みる言葉だ。
背、こんなに高かったっけ?
そんなことを考えながら、彼の隣を歩く夏のある日。
ロケ地:鹿児島県立大口高等学校
「この感覚久しぶり」
偶然開いていた体育館でバスケットボールをドリブルする彼は、稚く笑う。
綺麗な放物線を描く彼の手から放たれたボールは、ゴールに吸い込まれる。
「流石」
「スポーツだけが取り柄ですから」
きっと気のせいだ。
得意気に笑う彼を見た瞬間、胸が高鳴った気がするのは。
気のせいに、決まってる。
ロケ地:鹿児島県立大口高等学校
「傘忘れた」
そう言う彼に呆れて見せながらも、私は折り畳み傘を差し出す。
「チャリ通学なのに、何で持ってんだよ」
ずっとバックから傘を出さずに放っておいた私に感謝する。
「レインコートも持ってるのか?」
「忘れた」
「お互い変わらないな」
隣を歩く彼との距離が懐かしい。そして、落ち着かない。
ロケ地:川内川河川敷
この場所だけは不思議なことに何も変わらない。
溢れる緑も、静謐なこの空気も、妹と幼い頃ここで過ごした時のそれと何も変わらない。
本当に皮肉なことだ。
ここから一歩踏み出した所に広がる世界は、あれほど変わってしまったというのに。
彼と彼の妹だけがこのあらゆる法則や因果の外に放り出され、そして同時にこの世界に取り残されたのだった。
彼はふわりと重力を感じさせないように舞った。
ロケ地:山野線トンネル跡
隣で木々に身を委ねるように伸びをする妹は、純粋無垢としかいいようがない。
彼女の纏う純白のワンピースのように、純粋だ。
その純粋な彼女と、生きていくのだ。けれど、彼女に頼ることは出来ない。
僕は兄であり、自分の耳に流れ込むこの不思議な声を、彼女に負わせたくはないのだから。
ロケ地:元野橋
かつて発電所だったその建物は冬場ダムの底に沈んでいて、夏になるとその姿を現す。
昔好きだったアニメ映画の名前を例に挙げて、無邪気にはしゃぐ妹に少しだけうんざりする。
外の世界で散々見えてきた廃墟とは、どこが違うのだろうか。
長く旅を続けたが、この街に導かれているような不思議な感覚がある。
だとしたら誰が…一体何の為に?
ロケ地:曽木発電所遺構
洞窟の奥から不思議な声がする。何十、何百という数の声だ。
耳を塞いでもその声は大きくなる一方で、それは頭に直接話しかけてくるようだった。
妹は不思議そうな顔でこちらを見ている。
彼女には聞こえない。
これはこの世界の声なのだ。
ロケ地:曽木の滝導水路トンネル跡
「ねえ代わってよー。」ボートを漕ぐ兄に無邪気に詰め寄る妹。
「危ないから。」
素っ気なく答える彼であったが、目には妹を想う兄の優しさが見えた様な気がした。
巨大な溜池に真っ白なボート。
それは、まるで彼らをまた違う世界へと導くために用意された方舟のようだ。
「次はどこへ行こうか?」彼は小さく呟いた。
ロケ地:曽木発電所遺構
「お前、大山のところの息子が好きなのか?」
唐突な父の問いかけに少し戸惑いながらも私は台帳にペンを走らせる。
「そんな訳ないでしょう。ただの同級生。それだけ。」
「そうか。」
そう言うと父はまた黙々と作業を続けた。
建物中が焼酎の香りで満たされているせいか私は少しクラクラした。
ロケ地:大口酒造株式会社
「あの噂聞いたか?」
「婚約のやつだろ?」
空き地の少年のように額を寄せ合う男達の視線を感じる。
「まだ許嫁ってのはあるんだねえ」
焼酎を瓶に充填しながら無関心なフリを続ける。
『恥ずかしいから、周りには内緒にしよう』
そう言った過去の自分を恨みながら。
ロケ地:大山酒造合名会社
「最近なんか避けてるでしょう?」
そういうと彼女は拗ねたような悲しい表情を浮かべた。
「お前こそ、俺に何か言うことあるんじゃないのか?」
思わず大きな声をあげてしまい、かっこ悪いなと自分でも思ってしまう。
「婚約って…婚約ってなんだよ。」
互いに目を背け、黙り込む。作業場の奥で機械の音だけが鳴り続けている。
彼女は小さく息を飲み込み、そして言った。
「あのさ…駆け落ちって、今どきダサいかな?」
ロケ地:大山酒造合名会社
息を吸うのが、苦しい。
手の中の拳銃が、ひどく重く感じる。
「犯人は爆弾を所持、銃器で武装している可能性もあるから気をつけろ」
無線から聞こえる言葉はあまりに現実味がなくて遠い。
苦しい。怖い。それでも、私がやるしかない。
静かに、それでも大きく息を吸って一歩踏み出す。
ロケ地:鹿児島県伊佐市役所大口庁舎
「おいおい本気になるなよ!楽しいゲームじゃないか?」
彼は議長席を背に微笑みを浮かべながら爆弾を議場のテーブルに置いた。
「ところで、女性の刑事さん。君はこの街の出身だそうだね。」
何故それを知っている。一体何が目的なのか。
一瞬混乱が顔に出そうになったが、どうにか心を落ち着かせる。
「それが一体なんの関係があるっていうの!」犯人に向けた銃口が震える。
「逃走を続ける犯人が、それを追う刑事の故郷に逃げ込む…そんな偶然あると思うかい?」
ロケ地:鹿児島県伊佐市役所大口庁舎
朱色の拝殿で背筋を伸ばせば、澄んだ空気が私の中へ流れ入る。
私を囲む朱と私の纏う着物の白が、対照的だが調和している矛盾がある。
けれど、その矛盾すら透き通っているのがこの場所というものだ。
窓越しに見える緑さえ澄み渡る。
朱と、白と、緑。静かで清廉な空気に満たされたこの場所に、私はいる。
ロケ地:郡山八幡神社
「おはようございます」
「おはよう。毎日ご苦労様。」
毎朝この境内を訪れる紳士に挨拶をすると、私の1日は始まる。
初めは慣れるとは到底思えなかった巫女としての仕事も、すっかり馴染んだ日常だ。
私の中心を支えてくれる緋色の袴も、すっかり馴染んでいる。
今日も、1日が始まる。
ロケ地:郡山八幡神社
また行きたいと思わざるを得ないほど
美味しい料理、綺麗な景色、人の温もり。
本当に素敵な街だと思います。
伊佐市を舞台に素敵な作品が生まれること、
心から期待しております!! 楽しみです!
自然豊かで、食べ物も美味しくて、
何より伊佐市の皆さんがとても優しくて、
短い滞在期間でしたが忘れられない
大好きな町になりました。
どんな物語が伊佐市で始まるのか今から楽しみです!
~住みよいまち、誰もが訪れたくなるまち~
伊佐市をあまり知らない人に向けて、
観れば気になる、行けば好きになる
伊佐市の魅力スポットを簡単にご紹介。
『鹿児島の北海道』とも言われる伊佐市の中でも特に寒い地域にある布計は、冬につららが出来る程の気温まで下がる。また、布計小学校跡は廃校した昭和54年にタイムスリップしてしまう程の懐かしさを感じる。
十曽には渓谷や池に近接するキャンプ場があり、五右衛門風呂から星空日本一にも輝いた満天の星空を堪能することが出来る。
伊佐が焼酎発祥の地と言われる由縁となった日本最古の『焼酎』の文字が記録されている『郡山八幡神社』。室町及び桃山形式の手法と琉球建築の情調が強く加味された本殿は国の重要文化財にも指定されている。神社入口には廃仏毀釈をきっかけに何故か反対に設置された仁王像も。。。
また、『忠元公園』ではのどかに過ごす事が出来、春になると満開の桜が公園全体を覆うお花見スポットになっている。
滝幅210メートルを誇り東洋のナイアガラと呼ばれる『曽木の滝』。訪れた人々を釘付けにする程の迫力もさることながら、紅葉や雪化粧をした四季折々の姿も見どころの一つ。
ダムの貯水量に応じて姿が変わる『曽木発電所遺構』。渇水期の初夏から秋にかけて観れる全貌も、冬から春の期間で観れる水に沈んでいる姿も神秘的に感じる。
2020年に実施されるかごしま国体でカヌー競技の会場にもなる『伊佐市菱刈カヌー競技場』は、国内でも高水準の立地条件にあり、カヌーやSUPをはじめ、ドラゴンボートレース『伊佐ドラゴンカップ』も毎年開催されている。
また、日本で最も金を産出している『菱刈鉱山』があり、近隣には鉱山から湧き出る源泉を有効活用した湯之尾温泉街が立ち並ぶ。
日本国内在住のエブリスタ会員であれば、
プロ・アマ、年齢、性別を問いません。
賞金50万円
鹿児島県伊佐市特産品、書籍化検討、映像化検討
賞金20万円
鹿児島県伊佐市特産品、書籍化検討
鹿児島県伊佐市特産品
1万字以上推奨の小説であること
(ジャンル問わず)
2.伊佐市を舞台にした作品であること
(物語のすべてを伊佐市で完結する必要はなし)
3.完結必須
鹿児島県伊佐市出身
三重 博一氏
(株式会社新潮社取締役)
有田 加津代氏
(株式会社集英社クリエイティブ 雑誌編集部 部長)
応募受付は終了致しました。
たくさんのご応募ありがとうございました。
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